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kobo Touch(コボ タッチ)に見る販促と、そのアフターフォローの考え方

2012年7月28日 | カテゴリー:国内ビジネス コラム

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楽天kobo touch

7月19日に発売開始され、あっという間に10万台もの販売数を成し遂げた楽天リリースの「kobo Touch(コボ タッチ)」ですが、その後出てくる出てくるトラブルの山。

まずアクティベーションが出来ない、0円書籍がなぜか1円で販売されている、日本語対応がどこかおかしいなど、様々な問題が初日から噴出し、大きな問題となってしまいました。

楽天としても万全を期しての販売スタートだったと思われますが、まさかここまで問題が出てくるというのは想定外だったのではないでしょうか。

現在ではアクティベーションも90%以上が完了したと言う報告がなされ、随時修正が行われているようで、kobo touch自体のトラブルは収束の方向に向かっていると思われます。

しかし、発火した火は決して収まっておらず、その矛先は販売元である楽天へと・・・

一体何が問題だったのかを改めてまとめ、我々ネットショップ運営者は何を教訓とすべきかをちょっと考えてみたいと思います。


そもそもの問題は、結果として未完成状態だったものをリリースしたこと

楽天側としては、出来る限り想定されるトラブルを考慮した上で販売したことは間違いないと思われますが、それでも、その想定は甘かったと言わざるを得ません。

ようするに、彼らが「想定していなかった」部分がまとめてトラブルとして噴出してしまったと言うことであり、そもそも利用することすらままならないと言うのは、多くの購入者をさぞかしガッカリさせてしまったことでしょう。

ネットショップの一つの「どうしようもない問題」として、amazonレベルの大企業で、日本全国の要所に倉庫を持ち、即日発送が出来る体制が整っていると言う場合であればともかく、ほとんどの場合においては、注文受付から入金、発送に至り、到着までには数日のタイムラグが出てくるものです。

しかし、お客様は「購入したものはすぐに欲しい」と言う心理があるもので、ネットショップが一般店舗に勝てないものとして抱える問題が「到着までの時間」であるのは言うまでもありません。

今回の場合、楽天から販売される、信頼性の高い端末であることから、その期待度も非常に大きなものだったと言うのは想像に難くありません。
それをこのような形で裏切られてしまうと、まずは「残念」と思ってしまうのが一つ。もう一つは、鳴り物入りで登場したものであるため、動かないことに「不安」を感じてしまうということが加わります。
発売初日ですので、情報も当然出揃っているわけもなく、「残念な気持ちの上に不安が加わり、どうしたものか」と言う状態になってしまうわけです。

しかし、現代においては様々な情報があふれているため、時間の経過につれて問題を共有することが出来ることから、「おかしいのは自分だけではない」と言うこともすぐに共有できてしまい、その力が攻撃性を伴ってしまったことも問題と言えます。
言い方は悪いですが、これは「楽天だったから」その攻撃に耐えられただけで、もしもこれを販売していたのが自分だとしたら…と思うと、笑うに笑えない状況であることはお分かりの事かと思います。

端的に言えば、今回のケースで言えば「商品のチェックが甘く、先走った販売と捉えられても仕方が無い」と言うことになってしまうのではないでしょうか。

アフターフォローの問題

多くのレビューなどを確認してみましたが、やはり問題の収束が遅れ、さらに火に油を注ぐような対応となってしまったものとして「レビュー欄の閉鎖」があります。

今回の騒動において、楽天初のレビュー欄閉鎖がまさか自社販売製品だったと言う皮肉な話となってしまいましたが、これを突如閉じてしまったと言うのは「逃げ」と言われても仕方ありません。

コボの出足は大成功、ネガティブな口コミは誤情報だから消し、内容を吟味して再掲載する――楽天・三木谷浩史社長
(東洋経済)
細かいことで騒いでいるのは少数派ですよ
楽天・三木谷社長、Kobo騒動を語る

(日経ビジネスデジタル)

さらにこのような感じの発言があるともなると、購入者としての怒りは収まらないのも納得出来る話かもしれません。

欲しかったのはそのような言葉ではなく、「今後何をしていくか」「修正に関するスケジュール」「万が一のトラブル対応窓口の紹介」「レビュー欄についての対応とフォロー対策」などを、公式に、誰もがわかる形で発表することだったのではないでしょうか。
それは現時点の購入者だけではなく、今後購入を考えていた方に向けてもなされるだけで、信頼の回復にかかる時間はもっと短縮できたはずと思っています。

確かに誤情報はあったかもしれませんし、嫌がらせのようなものもあったかもしれません。
しかし、インターネット上において利用者の体験談は非常に重要なものであり、一つの指針なわけです。
だからこそ多くのネットショップで口コミ情報やレビュー情報が尊重され、これらを取り扱ったサイトが賑わったり、有用なサイトとして認められたりもするわけです。

もしも誤情報や嫌がらせのようなレビューが散見されるようであれば、それに関するフォローを入れるべきだと感じるのが消費者ではないでしょうか。
これでは「都合の悪い情報を隠蔽した」と捉えられても文句は言えないのです。
もしもこれが認められてしまうと、インターネット上のレビュー情報は全て好意的なもののみとなり、そこに公平性と信頼性はなくなってしまいます。

もちろん、誤情報、正確な情報、嫌がらせの境界線は管理側で線引きを行うしかないため、一概に「全てを掲載すべきである」とは言えませんが、やはりそれらに関するフォローと言うのはあってしかるべきだったのではないかと。
楽天と言う巨大な組織だからこそ、逃げずに踏ん張って欲しかったなというのが本音だったりします。

似たような問題は数多くある。だからフォローが必要だった

このような初期不良トラブルと言うのは、決してkobo touchに限った話ではありません。

例えば多くの利用者の居るApple製品とて、「初期購入は人柱になるつもりで買え」と言った言葉があるように、初期ロット製品と言うのはあらゆる可能性を秘めており、必ずしもスタートから全ての商品が成功しているわけではありません。
あのAppleですら回収騒動や製品トラブルによる騒動はあるのです。
Windowsとて、全ての製品が常に完璧だったでしょうか? そんなことはありません。一昔前であれば「Windows Me」や「Windows Vista」などは代表的な失敗作でしょう。

しかし、それでも問題が収束し、以後も動いていると言うのは、やはりフォローが完璧とは言わずとも、問題から逃げなかったからではないかと思います(一部は逃げてるかもしれませんが・・・)
今回の件においても、販売数的にも、収束に向けたアップデートや修正情報においても決して失敗だったとは思いません。

問題は目に見える形で「逃げた」と捉えられてしまったことであったり、傲慢とも思える、公式からの強気な発言がただの「言い訳」にしか取られなかったことではないかと思うのです。
楽天と言う巨大な「ネットショップ」において、蓄積されたエネルギーが攻撃性を持ってしまったため、それを防ぐための対策を怠ってしまった と言うのが最終的な問題になってしまったのではないかなと。

消費者からすれば、そのお怒りもごもっともですし、クレームをつけられても仕方が無いことだと思いますが、一販売者として、どうすればこのような問題において対処できるのか。
自分が楽天社長であれば、なにをしていたか。
ショップ運営者であれば、想像の中だとしても、一度考えてみたい問題ではないでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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