Yahoo!ショッピング出店無料についてちょっとだけ思う事など
2013年10月8日 | カテゴリー:ネットショップサービス 国内ビジネス コラム
日本国内EC事情の中でもビッグニュースの部類に入ると思いますが、先日Yahoo!Japanにて「Yahoo!ショッピング出店費用無料」の施策を打ち出しました。
最近ではStores.jp、BASEを始めとした無料のレンタルショッピングカートサービスが着実に認知を高めていることもありながら、依然として楽天市場、amazonのシェアの広さの中からの対抗策のひとつとは考えられますが、随分と大胆な作戦に出たなと思っています。
そんなわけで、久々の更新で申し訳ない所ですが、本日は大きなネタに便乗でもしつつ、個人的に思う事など。
Yahoo!ショッピングは「本当に」出店無料なのか
これは大々的に打ち出している通り、出店費用やその他維持費等も無料にすると言う宣言なので言葉通りに受け取っていいと思います。
ただし、Yahoo!プレミアム加入(月額399円)は必須でしょうし、例え必須でなくとも、これに入っておかないとクレジットカード決済等の便利な決済方法は使う事が出来ないはずで、サービスを最大限に活用するのであれば、ほぼ間違いなく必須と考えても良いと思います。
また、おそらくは優遇措置がとられるであろうYahoo!のPPC広告でもある「Yahoo!プロモーション広告」の利用もかなりウェイトを置かれるのではないかと。
つまり、出店自体は無料ですが、前提条件であったり、売り上げを出すために必要なオプションや施策についてはその限りではないと言う可能性が非常に高いでしょう。
この辺りは今時のWebサービス全般でも同様ですので、条件さえ飲む事が出来れば、あらゆる必要なオプションが一元化できる大手サービスならではの特性が生かされる反面、結局「完全無料」かと言われると、ちょっと疑問かもしれないです。
実はYahoo!ショッピングの商品検索機能は他社ネットショップサービスでも使えました
今はもうサービス終了しているのですが、つい先日までYahoo!ショッピングの商品検索機能として、「Yahoo!カテゴリ(ビジネスエクスプレス)」に登録しているネットショップに限り、利用サービス、ショッピングカート問わずFTPで指定CSVファイルをアップロードすれば、他社ショッピングカート、オープンソースカート問わずYahoo!ショッピングから検索が可能でした。(CSVがアップロードできるFTPがあれば、サーバーも問いませんでした)
ディレクトリ登録ショップの特権のようなもので、これ使えば集客できるのかと言われればそうではなく、あまりそちらからの検索経由で来店があるわけではなかったことを記憶しています。
せいぜい「使えますよ」程度のものですし、当然自社サービス内のショップを優遇するに決まっていますので仕方ないのですが、この結果を見るに、必ずしも露出の多いYahoo!だから検索数も多いのかと言われると、そう言うわけでもないでしょう。
むしろ、今後出展数は一気に伸びる事は想像に難くありませんので、より商品検索は困難になり、自店の商品が埋没してしまう恐れがあります。
Yahoo!Japanのサービスだから露出は多く、確実に利益が出るであろうと思っても、そう言うわけではないという事は覚悟しておきましょう。
有料ショッピングカートはダメージを食らうか?
多少は食らうと思いますが、そこまで甚大というわけでもないと思います。
有料ショッピングカートは独自のデザイン、ドメインで作り込める事や、LPの最適化施策なども取りやすいですし、何より不要なバナーがつかないので、企業・店舗としてのブランドイメージを最大限まで高める事ができます。
既にほとんどのショッピングカートでYahoo!やGoogleとの連携が出来るようになっていますので、既存でお店を持っている場合であれば、わざわざ乗り換える必要性があるかと言われれば疑問ですし、乗り換えというよりは「Yahoo!支店」を持つと言った選択肢になってくるのではないでしょうか。もしくは維持費との兼ね合いか(楽天と勝負できる土壌になれば、実質として無料で使えるYahoo!にも勝機はありますし)
結局は住み分けの問題になってくるだけで、大勢が変わるほどのインパクトとは言い切れないと今の時点ではそう考えています。
現時点でのYahoo!ショッピング参入のメリット・デメリット
まず、メリットとしては日本最大手ポータルのプロデュースするサービスですので、信頼性、安定性はもちろん、様々なサービスと連携が容易です。
ほとんどの付加価値の追加をYahoo!内で完結させられるので、ネットショップに必要なものを外部から探す必要はあまりないでしょう。
どれだけ他社サービスが優れていてもYahoo!レベルのサービスを提供する事はほぼ無理ですので、同じ条件でならYahoo!ショッピングの方が圧倒的に有利となるのは間違いありません。
これは他社サービスが今後どのような施策を出してくるか注目どころでもありますが。
最後に、上記ではそこまで期待できないとは書きましたが、なんだかんだ言っても露出の可能性自体は他社よりも高いでしょう。何と言っても購入者としてのサービス利用の母数が違います。
ただし、デメリットというか、まだ分からない点として、
クレジットカード決済の利用はYahoo!プレミアムの加入が必須である可能性が高いこと。既に一定の売り上げを出している状態で、すぐに乗り換えるほど優れた機能を持ち合わせているかと言われれば疑問であること。
どこでどんなオプション費用が発生するかまだ不明瞭なところは要確認かなと。
最終的に突き詰めればどこも同じではありますが…
Yahoo!がネットショップ出店を無料にしたと言う事自体がビッグニュースとして取り上げられましたが、果たしてそこまで大きなインパクトであったかと言われるとちょっと疑問です。
すでに無料ショッピングカートサービスが存在しており、さらに無料サービスにありがちな多くの機能的な問題やデメリットを改善するために様々な方法を取り入れていることはもちろんですし、広告戦略もなかなかに強かな印象があります。
Yahoo!と言うブランドイメージがあり、しかも無料ですので、大きなビジネスチャンス到来か! と思う人も一定数はいることかと思いますが、多分そんなに大きなチャンスでもないといいますか、実際始めてみればどのサービスとて大差があるわけではないことを実感するのではないかと思います。
楽天ですら毎年の維持費が数十万に上るにも関わらず、成功企業より撤退企業の方が多いわけですし、大きな母体に守られているから大丈夫と言う考え方で始めるものでもないでしょう。
最終的にはどのように販売商品を選び、どう言った広告戦略、販売戦略でもって売り上げに結びつけるかと言う点に絞られてきますので、そのための戦略をサービスの特性と関連づけして有効に活用できるかどうか のみ考え、最も使いやすいショッピングカートを選ぶのが一番だと思います。
これから新規でネットショップを始めるならチャンスかも?
ちょっと今回は否定的な意見ばかりを書いてみましたが、新規でネットショップを始めることを検討していたり、これまでネットショップを立ち上げようにもハードルの高さに思う所が多かった方にとっては、良い機会だと思います。
私はこれまで様々なショッピングカートを触ってきたこともあって、どうしても他社との比較やこれまでの経験が混じってしまい、全てを肯定する事が出来ないので否定的な部分ばかり見てしまうのですが、全体的に見れば決して悪いものではなく、むしろYahoo!自らネットショップ業界を盛り上げる可能性を提示してくれた事はすばらしいことだと思っていたりもします。
Yahoo!側の真の意図や裏側はさておくとしても、やっぱり日本最大級ポータルサイトであり、十分なノウハウ、技術力、信頼性を持ったところですので、利用を検討している人においては、選択肢の一つに加えておく価値は十分にあるでしょう。
ただ、思うのは文面だけにとらわれず、無料を謳っていても、どこかでカラクリが存在しており、何らかの形で有料となる部分は出てきますので、その部分が自身に取って問題であるか、そうでないかなどの精査はしておいた方が良いと思った次第です。